農業における匠の技の形式知化はできるのか?

スマート農業に関わっていると、品質や安定出荷を支える技術を培ってきたが、個々の生産者に依存しているのでこれを脱却したい。そのためにデータをとり、分析することによって「匠の技を形式知化」するという取組みが良く出てきます。

ただ、もう何年も同じような話をしている割には進んでいないと感じます。
(施設園芸に関してはデータ活用が進んでいると思うのですが、これは匠の技を形式知化したというよりも、実験を繰り返すことによって達成しているように思うのですが、実際のところはどうなのでしょうか?)

これは、これまで国内で産地間競争してきたから仕方ないと思いますが、技術をオープンにしたがらない(人や産地で抱え込む)ところや、オープンにしたとしてもその技術の要諦を理解して伝える技術や人材が不足している、のが課題だと感じています。この辺、スマート農業関係の勉強会などに参加すると、いつも議論が上滑りしているし、論点がズレてるように感じます。

さて、サツマイモの栽培も個々の技術の積み上げが大事になりますが、だいたい毎年気候も違うし、その中で抽象度を上げて普遍的な技術に研磨しないといけないと考えています。そのためには、何の影響が一番大きいのかなど、比較しないと理解できないと思うので、毎年いろいろなことを試しながら栽培しています。

今年度のサツマイモ栽培の取組みとして次のようなことを行う予定です。

  • 38品種の栽培
  • バイオスティミュラント資材試験
  • 生分解性マルチ比較
  • 塊根肥大期の追肥
  • 支柱栽培(垂直栽培)
  • 直播栽培
  • 節苗栽培

以前、「サステナブルでスマートなサツマイモ栽培」(Sustainable and Smart Sweet Potato Farming、3S農法)というのを書きましたが、科学的な視点が抜けていたなと思います。
改めて、3S農法は、Sustainable(持続的)、Smart(賢明に)、Science(科学的)だと定義したいと思います。