第二次世界大戦前後に栽培されていたサツマイモの品種をジーンバンクから取り寄せてみました。
これらの種いもから苗をとる予定です。サツマイモと日本史の関係性を感じます。
明治末期~昭和初期、「東の紅赤、西の源氏」と言われ、西日本では源氏種が主流でした。中でも中南九州地方では「蔓無源氏」が大部分だったと言われています。
戦前・戦中は食料難から、サツマイモにはとりあえず収量が求められて、食味は二の次という感じでしょうか。「沖縄100号」「茨城1号」「護国藷」は、配給されるイモとして日本人の命を繋いできた品種です。ただ、この頃にまずいサツマイモを食べ過ぎたので、いまだに嫌いという方もいらっしゃいますね。
戦後は、食味の良い品種が登録されるようになっています。その中でも食味が「上」の品種を取り寄せてみました。これらとは別にクリマサリ(農林21号)も今年育ててみる予定です。
あと「蔓無源氏」については、鹿児島の酒造会社さんのものを販売しているのですが、どうも昔の書籍に書いている特性(肉質)が異なるので、確認してみたいと思ったこともあります。
以下、品種の説明です。ご興味ある方はお読みください。
◆蔓無源氏
明治40年頃、在来源氏種の中から蔓が短く葉が密に着生する突然変異株が発見される(「源氏」はオーストラリアより明治28年に導入された品種)。後年「蔓無源氏」と呼ばれて普及する。食味は上で、肉質は中粉。南九州で栽培されていた源氏種はこの品種が大部分を占めた。
◆沖縄100号
交配親は七福×潮州。昭和9年に命名登録。沖縄県の奨励品種。のちに千葉県でも奨励種となった。食味は中下で、肉質は粘質。戦時中の配給いもとしてよく食べられていた。当時で反収6トン近く採れた記録があり。耐肥性は極大で、多窒素状態に耐え、むしろ窒素が多い方が多収を示す。
◆茨城1号
交配親は紅皮×沖縄1号。昭和12年に命名登録。茨城県の奨励品種。食味は下で、肉質は粘質。終戦前後、品質は劣悪にも関わらず、栽培の容易さと収量が大きいことにより、栽培が広がった。
◆護国藷
交配親は元気×七福。昭和13年に命名登録。高系4号と同一品種。三重、高知県の奨励品種。食味は中で、肉質は粉質。晩成型で、乾燥地域・寡肥条件での栽培に向いている。
◆かんしょ農林10号
交配親は吉田×沖縄100号。昭和25年に命名登録。東京では「カンロク」(関六)の通称で呼ばれ取引が行われていた。食味は上で、肉質は粉質。太白種はこの品種に置き替えられていった。
◆アジヨシ(農林15号)
交配親は吉田×7-539(7-539の交配親は元気×七福)。昭和27年に命名登録。三重、香川県の奨励品種。食味は上で、肉質は中。焼きいもに適する。
◆ナカムラサキ(農林17号)
交配親は二宮×太白。昭和27年に命名登録。鹿児島、大分、熊本県の奨励品種。食味は上で、肉質は中粉。肉に紫暈が入る。