さつまいもを軸にした農業の12次産業化

昨今、農業に興味をもった方でしたら、農業の六次産業化という言葉を耳にすることは多いと思います。
詳しくはWikipediaを読んでいただくとして、簡単にいうと第一次産業が食品加工(二次)/流通販売(三次)も行って、農業の活性化や多角化を進めることを指しています。
第六次産業 – Wikipedia

そして、それを地方活性化施策の一環として、国・農林水産省が推進し、プランナーや補助金などの整備がされています。
農林水産省/6次産業化プランナー
農林水産省/6次産業化支援策活用ガイド

六次産業の現実解

さて、三年ほど前から地方の農家を回ってきた中で感じたことは、第一次産業従事者による六次産業化はかなり難しいということです。
なぜならば、二次産業/三次産業にもそれぞれ事業者がいて、自分たちの事業範囲で必死になって事業を営んでいます。そのような事業範囲に、片手間やすきま時間を使って進出したとしても、成果はほとんど出ないというのが現実だと思います。

※もちろん中には成功している方もいます。しかし成功しているからメディアに取り上げられるのであって、成功の陰に多くの失敗が隠されています。

六次産業化の本来の意味とは離れてしまいますが、現実解としては、一次産業従事者の価値をきちんと活かしてくれる二次産業/三次産業従事者と組むか、二次産業/三次産業従事者が一次産業に進出して雇用を生むというのが、正しい方法だと思っています。
一番の成功例としては「塚田農場」を運営するAPカンパニーのような仕組みでしょうか。

12次産業化とは

そんな中で農業の12次産業化という言葉を目にするようになってきました。
例えば新潟市の例です。

農業と他分野(子育て、教育、福祉、保健・医療、エネルギー・環境、交流)との連携を進めることで、農業の新たな価値を創出し、安心・安全で暮らしやすい都市の創造を図る取り組みです

農業と他分野の連携(12次産業化) 新潟市

基本的には三次産業を流通/販売という業種だけではなく、サービス業全般を対象にしただけだと思うのですが、良いなと思ったことは「連携」という言葉です。
そう、結局のところ「連携」して付加価値を「共創/協創」することが重要なんです。どこもこのことに気付いて取り組むべきだと思います。

さつまいもの12次産業化

さつまいもを軸とした12次産業化としてはどのようなことが考えられるでしょうか?
新潟の例をもとに考えてみました。

1.観光・交流

農業体験(芋掘りツアー)参加による親子や地元住民とのふれあいが考えられます。目新しさは少ないですが、手軽に参加しやすく確実に需要があるものです。

2.子育て・教育

観光と同じ事業内容となりますが、農業体験やさつまいも料理教室などを通じた食育も同時に行えます。

3.福祉

さつまいもの栽培は一部の作業を除き高度な技術は必要ありませんが、収穫などを人力で行う必要性があり、まとまった労働力が必要です。そのため、障がい者の雇用に向いているという側面があります。

4,保健・医療

さつまいもは準完全栄養食のため、さつまいもだけでも十分な栄養価を摂取することができます。そのうえ、カロチンやアントシアニンなど、機能性成分を活用した食品の対案も可能です。

5.エネルギー・環境

さつまいもは高い光合成炭素同化率をほこり、二酸化炭素固定する能力が高いといえます。温暖化対策だけではなく、糖類をもとにしたバイオ発電材料としての利用も考えられます。

6.IT

ITを駆使した生産効率や品質の向上が考えられます。
ほかの作物同様、さつまいもの育て方に決まった方法はありません。農家さんが長い栽培経験の中で身に着けた方法が多いです。データをとりながら、どのような栽培方法が本当に優れているのか?を突き止めることが考えられます。

ぱっと思いつく範囲で書いてみましたが、なかなか有用じゃないですか。