昨年の12月後半、サツマイモの未来について考えることが増えました。
正確にはサツマイモの未来というよりも、私がサツマイモ業界においてこれから取り組むべきことは何だろう?ということです。
考えるようになった理由は大きく3つあります。
一つ目は、サツマイモの栽培において自分自身の能力や効率化で生まれる付加価値が思いのほか小さいことに気付いたことです。これは、2022年にまとまった面積で栽培をしたことで、今後の面積拡大やさらなる効率化をはかったとしても、うまれる付加価値は自分が思っていたよりも大きくないと感じたからです。重要なのは「自分が思っていたよりも」ということで、サツマイモの栽培が儲からないというわけでもないですし、やめるわけでもないです。
二つ目は、2年前から多くのメディア出演をしてきましたが、多くはサツマイモ業界の過去や現在を語る内容になっていて、未来を語ることが少なかったという反省です(求められない場合も多いですが)。もちろん、サツマイモについて幅広い知識をもって、わかりやすく伝えることができるのは自分ぐらいだという自負はありますし、これからも発信活動を継続することに変わりはないですが。
三つ目は、とある焼きいも屋さんに会った時に、「橋本さんは私たちの敵ですか?味方ですか?」と聞かれたことです。私個人としては、サツマイモ業界のどの立場の方とも一定の距離感をもって接しているつもりでした。ただ、業界というよりもサツマイモにとってどうか?を優先して考えているし、活動内容が多岐にわたっているので、誤解をうむようなところがあったのかなと…少しショックを受けました。
以前より、サツマイモ産業振興ネットワーク構想として、サツマイモに関するビジネスチェーンを構成する研究者・生産者・企業および消費者の連携をサポートし、新しい価値(商品・サービス)を共創する仕組みを作ることを提唱していましたが、正直なところ既存の枠組みの中では、できることが少なく感じています。サツマイモ業界の中で共存共栄の関係性を作っていきたいと考えていましたが、共存共栄は結果であって、これを目的にしていたら何もできないと考えるようになりました。
「さつまいもでつなぐ、人と世界と未来」を掲げているけど、自分はいったい何に手が届くのか、どこまで歩いていけるのか?
現状での自分の能力と限界を知り、先の見えない落ち込んだ気分にいました。
そのような気分の中、12月末に新卒で入った会社で、最初に配属された部署の方と20年ぶりぐらいに飲む機会がありました。
いろいろ話をしている中で、ある人が「橋本がやっていることはすごいことだと思うよ」「なにかやれることがあったら言ってくれ」と言われたことが、非常に嬉しかったのと同時に、業界外の方との関係性にこそ、自分の価値があるのではないか?という気付きになりました。
やはり、私がサツマイモ業界においてこれから取り組むべきことは、多くの人にサツマイモの魅力を伝え、繋がっていなかった人、さつまいもに少しでも関心をもってくれた人を活動に巻き込んでいくことではないだろうか。
そのためには、既存の業界の枠組みを外れてでも、サツマイモの未来を思い描く必要があるのではないか。
メディアにも取り上げられるような、新しい取組みを提案して実現していかなければならないと感じています。
2019年から2022年までの3年間は「サツマイモ産業振興ネットワーク構想」を掲げて活動し、業界内で共存共栄の枠組みを作ろうと思っていましたが、正直なところ目指すべきサツマイモ業界の「未来のあるべき姿」が見えていない、またそれを実現できるだけのリソースが備わっていない。
未来思考(バックキャスティング)が大事だと書いていますが、まずは、私とサツマイモの「未来のあるべき姿」を見つけ、覚悟を決めて取り組むのが先決です。
そのためにも、今年はある意味自分勝手に、自分がやりたい事を優先的にやってみようと思います。