大正大学でのグリーンインフラ論の講座が再開しました。今期は私が主担当なので授業内容や講義資料などすべて一人で考えて作っています。
今期全体のテーマは「グリーンインフラの活用 農業や食と社会経済活動」で、初回は1)農業の多面的機能、2)農産物の流通について講義しました。
「農業の多面的機能」は『国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等農村で農業生産活動が行われることにより生じる食料その他の農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能(食料・農業・農村基本法第三条)』で、農業には経済的評価が難しいけど必要とされていることがあること、グリーンインフラとして求められる機能を農地や農業関連施設が提供できるということを理解してもらうことが目的です。
「農産物の流通」は、食・農業は身近でその課題感をなんとなく理解することはた易いですが、一方でその課題解決を考えるうえで流通構造を知らないと浅い議論になりがちだからです。
JAや卸売市場の存在意義についても話ながら、各生徒には事前に近所の小売店で野菜の値段・産地を調べてきてもらった内容を共有してもらったりしました。
作物によって産地に偏りがある、野菜パックはなぜ一定の価格なのか、キノコやもやしの値段はなぜあまり変化しないのか?など、考えるネタになります。
この二つのテーマはある意味逆の話なんですが、農業や食は利益追求するだけではなく社会的な意義も考えて欲しい、その一方で継続性を考えるうえでは利益も必要なので、そのためにはどういう仕組みにすれば良いか、このテーマ間をいったりきたりしながら考えるのが重要だと思ってます。