11月17日から20日まで沖縄県読谷村で開催された第10回東アジア唐芋友好ワークショップに参加してきました。
東アジア唐芋友好ワークショップでは「唐芋の加工と6次産業化」をテーマに研究討議が行われ、日中韓の各国から2名ずつ発表がありました。日本からは沖縄のお菓子メーカー「株式会社御菓子御殿」専務取締役の澤岻千秋様による「唐芋の加工と6次産業化~むらおこしから地域ブランドになるまで~」、大海酒造株式会社代表取締役の河野直正様による「地域に根ざした焼酎造り」の発表がありました。中国や韓国からも同じ各国の唐芋産業の現状及び見込みについて発表がありました。
各国の発表内容を聞いていて、日中韓で唐芋に関する悩みは共通していることがよくわかりました。例として、唐芋の病気や生産性の向上、加工・販売においていかに付加価値をあげるかの課題が挙げられます。また、中国と韓国でも6次産業化への取り組みが見られました。
ワークショップが開催された翌日は沖縄の唐芋農場と御菓子御殿読谷本店の見学をしました。見学をした村内農場では「ちゅら恋紅」という紫芋が栽培されていました。農場ではお花畑かと思うぐらいに花を咲かせていました。そのため、沖縄では自然交配で勝手に新しい品種が生まれるそうです。また、沖縄には本土では発生しない非常に厄介な害虫ゾウムシ類の対策が大変だということです。
農場見学の後には「紅いもタルト」で有名な沖縄のお菓子メーカー、御菓子御殿の工場見学に行きました。紅いもタルトは村の紫芋を使った独自の商品です。人気商品として有名ですが、発売当初は、紫色の食べ物は流行らない、など言われたこともあったそうです。さまざまな困難を乗り越え、今では観光客だけでなく地元沖縄の方々にも人気があるそうです。
その後、嘉手納町に移動し、いもづるの会との交流を行いました。野國総管関係のお話や唐芋が結ぶ日中韓の歴史についても学べ、非常に勉強になりました。
ワークショップを通じ、唐芋に関する課題を日中韓で共有し、一緒に解決していくことが必要であると認識しました。3カ国共同で取り組むことに対し、日本の情報が洩れる、という意見を耳にすることがありますが、農業に関わる技術の進歩や人材育成は日本だけの問題ではなく、国境を越えた人との交流によって発展すると感じました。
近年、日中韓の政治的な問題が生じているのにもかかわらず、10年間開催され続けていることはとてもすばらしいことと感じます。ワークショップの最後には引き継ぎ式が行われました。来年は韓国で開催されるようです。夜に行われた晩餐会では沖縄民謡を踊ったりして友好的な交流ができました。唐芋が繋げる国境を越えた縁・友好が今後も続くことを期待します。